AI時代に壊れずに働き続けるための道具と考え方 — エンジニアの認知負荷マネジメント
AIがコードを書く時代になっても、人間の脳と身体は変わっていない。むしろAIの出力を監視・判断する時間が増えたぶん、認知負荷は上がっている。この記事では、実際に試して効果があった道具と習慣を整理する。
認知負荷の記事一覧です。全14件の記事があります。
AIがコードを書く時代になっても、人間の脳と身体は変わっていない。むしろAIの出力を監視・判断する時間が増えたぶん、認知負荷は上がっている。この記事では、実際に試して効果があった道具と習慣を整理する。
最適化疲れの反動はGWS2026で取り上げられたトレンド概念だが、言葉ができるずっと前から現場では起きていた。AIに仕事を任せ、ツールを掛け持ちし、効率を追いかけた先にあった「壊れそうな感覚」について、エンジニアの視点から整理する。
かつて私は「完璧主義」の信者だった。ツールも効率もすべてを最適化しようとして壊れた——それが「最適化疲れ(Over-Optimization Backlash)」だ。量産型エンジニアが、完璧を手放し「最適」で満足することを学ぶまで。
リモートワークになってから、朝起きて最初に考えることが「今日何を着よう」だった。誰にも会わないのに、なぜか毎朝クローゼットの前で立ち止まる。大した選択じゃないのに、この小さな決断が一日の頭のリソースを奪っていく実感があった。「明日着る服を決めておけばいい」というアドバイスは聞き飽きた。
先月、チームの設計レビューで気づいた。自分が何も言えていない。いや、考えていない。AIにコードを書かせ、レビューさせ、修正案を出させるループに慣れきった結果、いざAIのいない場で意見を求められたとき、頭が真っ白になった。これが「認知的降伏」だ。
先月、午後いっぱいagentic codingをやって、夕方にコンビニへ車で出た。AIに指示を出し、出力をレビューし、修正を指示する。このループを5時間続けたあとの頭は、妙にぼんやりしていて、それでいて妙に回転が空回りしている感じだった。信号が黄色から赤に変わる交差点で、ブレーキが一瞬遅れた。大したことじゃない。
agentic codingを始めてから、コードを書くスピードは間違いなく上がった。AIに指示を出せば、以前なら30分かかっていたコンポーネントが5分で出てくる。これでもう大丈夫かと思った。だが実際は、コードが速く出てくるぶん、それをどこにどう組み込むかの判断が追いつかなくなった。
agentic codingを午前中いっぱい続けて、昼を挟んで午後もAIの出力をレビューしていると、3時を過ぎたあたりで急に頭が動かなくなる。文字は読めているのに理解が追いつかない。判断が遅れている自覚はあるが、どうにもならない。コーヒーを飲んでも戻らない。散歩しても、席に戻ったら同じ状態だ。
リモートワークでagentic codingをしていると、一日の大半をAIとの対話で過ごすことになる。指示を出し、出力を見て、修正を指示する。このループを何時間も続ける。気づいたら、Slackも開かず、同僚とも話さず、AIとだけ壁打ちしている日が週に何度かあった。
去年の今頃、右肩が上がらなくなった。一日10時間以上キーボードを叩く生活を何年も続けて、肩甲骨のあたりが常に張っている状態だった。整体に通ってもその場しのぎで、数日すればまた痛くなる。原因は明らかだ。キーボードを使うとき、肩が内側に入り、手首が外側に捻られる。
AIにコードを書かせて、出力をレビューして、修正を指示する。このループを一日中回していると、脳は常に緊張状態にある。その緊張をごまかすように、コーヒーが増えた。朝に2杯、午前の休憩で1杯、昼食後に1杯、午後に1杯。気づけば一日5杯。カフェインの効きはだんだん薄れて、飲まないと頭が回らない。
リモートワークになってから、休日と平日の境界がどんどん曖昧になった。土曜の朝、起きてすぐSlackを確認し、なんとなくPCを開き、気づけば午前中いっぱいコードをいじっている。休んでいるつもりなのに頭は平日と同じモードのまま回っている。AIに指示を出すことに慣れた脳は、オフにする方法を忘れてしまったようだった。
リモート会議で「音声が聞き取りづらい」と言われたことはあまりない。でもそれは、相手が遠慮しているだけかもしれない。ふと気になって、自分の声をMacのデフォルトマイクで録音して聞いてみた。エアコンの低音が混ざり、キーボードの打鍵音がカチャカチャ入り、部屋の反響で声がぼやけている。
一昨年の写真を見返したら、机の上がよくわからない物で溢れていた。スマホスタンド、充電ケーブル3本、付箋の束、飲みかけのマグカップ2つ、読みかけの本が平積み、USBハブに外付けSSD。物が多いと視界に入る情報量が増える。視界の情報量が増えると脳の処理すべきことが増える。