なぜ机のものが気になり始めたか
一昨年の写真を見返したら、机の上がよくわからない物で溢れていた。スマホスタンド、充電ケーブル3本、付箋の束、飲みかけのマグカップ2つ、読みかけの本が平積み、USBハブに外付けSSD。
ここ数年、AIの出力を画面上で監視する時間が圧倒的に増えた。ClaudeやChatGPTがコードを生成するのを見ながら、自分の手はあまり動かさず、目が情報を追っている。このとき、画面の外──机の上の余計な物──が、前よりもずっと気になるようになった。
物が多いと視界に入る情報量が増える。視界の情報量が増えると脳の処理すべきことが増える。頭はすでにAIの出力のチェックで忙しいのに、周辺視野からも情報が押し寄せてくる。この状態が続くと、夕方にはぐったりしていた。
どこまで削ると変わるのか
思い切って、机の上からすべての物をどかしてみた。モニターとキーボードとマウスだけ。あとは床に積んだ。
最初は裸の机に違和感があった。物がなさすぎて落ち着かない。でも3日ほど経った頃、明らかに変わった。作業を始めるまでの「心理的なためらい」が減った。机の前に座るだけで、すぐにコードが書ける。この感覚は初めてだった。
| 物が多い机 | 何もない机+大きい物だけ | |
|---|---|---|
| 視覚的ノイズ | 多い | ほぼゼロ |
| 朝イチの心理的ハードル | 高い | 低い |
| 掃除のしやすさ | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ |
| 気が散る頻度 | 頻繁 | めったにない |
| 集中の深さ | 浅い | 深い |
机の上でやったこと
- まず全部どかす。ケーブルも物も一旦すべて床に置く
- 本当に必要なものだけ戻す。必要だったのはキーボードとマウスとモニターだけだった
- ケーブルはデスクアームとトレーで卓上から完全に排除した。見えないことが大事
- 引き出しを一つ用意して、ときどき使うもの(ハブ、SSD)をそこに入れる
- 作業後に必ず机の上を一度さらってから席を立つ習慣をつけた
大きなモニター一枚にした理由
以前は27インチ×2枚のデュアルディスプレイだった。常に複数のウィンドウが見えて、情報が四方八方から目に入ってくる。AIの出力を見ながらドキュメントを見て、Slackの通知もちらちら視界に入る。これがじわじわ効いていた。
今は32インチ4Kを一枚だけ。ウィンドウは最大化せず、画面の真ん中に必要なものだけを置く。AIの出力と自分のコードエディタを一枚の画面に並べる。分割された複数画面より、一枚の広いキャンバスに情報をまとめたほうが、頭の中も散らからない。
視点移動が減って首も楽になった。これは副産物だったけど、肩こりが減ったのは大きい。
判断力を物理的に守る
AI時代に人間に残るのは「判断力」だと言われる。その判断力を一番手軽に削るのが、視界の中の余計な物だ。机をきれいにするのは整理整頓の話じゃなく、脳の処理余力を守るための最低限の投資だと思う。
同じように分割キーボードで身体の負荷を減らすことも、机の上と合わせてやっておきたい。服も同じだ。毎朝何を着るか決めるのをやめたら、頭のリソースがもう一つ解放された。判断することそのものを減らすという考え方は、意外とあちこちに応用できる。
今すぐ机の上の物を全部床にどかして、今日使うものだけを戻してみてほしい。それだけで集中の質が変わる。
できればモニターも一枚にして、必要な情報だけを真ん中に置く。視界の余白が、脳の余白になる。