休日なのに頭が休まっていなかった
リモートワークになってから、休日と平日の境界がどんどん曖昧になった。
土曜の朝、起きてすぐSlackを確認し、なんとなくPCを開き、気づけば午前中いっぱいコードをいじっている。休んでいるつもりなのに頭は平日と同じモードのまま回っている。AIに指示を出すことに慣れた脳は、オフにする方法を忘れてしまったようだった。
去年のある週末、ついに限界がきた。金曜の夜にPRを出して、土曜の昼にマージされて、日曜の朝にはもう次のタスクのことを考えている。月曜の朝、なんだかずっと働いていたような気がして、でも何も休んだ記憶がない。このままではまずいと思った。
家にいてもダメなのはわかっていた。だからといって、旅行に出かけて観光地を歩き回っても疲れるだけだ。必要なのは「何もしないこと」。でも意志の力で「何もしない」はできない。
車中泊という選択肢
以前からキャンプはたまにしていた。テントを張って火をおこして、という本格的なものだと準備も片付けも面倒で、気軽には行けない。去年の秋、試しに車の中に寝袋だけ積んで一晩過ごしてみた。結果、これが予想以上に効いた。
| 家でダラダラ | 外出・観光 | 車中泊 | |
|---|---|---|---|
| PC・スマホからの距離 | ゼロ | やや離れる | 物理的にない |
| 思考停止のしやすさ | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ |
| 準備の手間 | ゼロ | 中 | 小(寝袋だけ) |
| リフレッシュ効果 | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 月に何度もできるか | できる | 難しい | できる |
車中泊のいいところは 「物理的に何もできない」 ことだ。狭い車内に寝袋を敷いて横になると、やれることがない。スマホはあるけど、地図と音楽以外は見る気がしない。電波の入りにくい道の駅に停めれば、そもそもネットにつながらない。
実際にどうやってるか
最近は月に1〜2回、金曜の夜に車で出発するようになった。
- 行き先は「電波の弱い道の駅か湖畔」で十分。絶景である必要はない
- 車に寝袋とバーナーとコーヒーセットだけ積んで出発。計画は30分で決める
- 道中、スマホのナビ以外は触らない。ポッドキャストも聞かない。ラジオだけ
- 着いたら寝袋にくるまって、飽きるまで天井を見つめる
- 翌朝コーヒーを淹れて、だらだらしてから帰る
最初のうちは「何もしない」ことが不安だった。でも2回、3回とやるうちに、この退屈さが気持ちよくなってきた。脳が退屈を受け入れるようになる。これが回復の合図だと思っている。
意志に頼らない休息
自分には「休もう」と思って休めるほど意志が強くない。家にいればPCを開くし、スマホがあればSNSを見る。だから休めない。
ならば物理的に休まざるを得ない状況を作ればいい。車中泊はまさにそれだ。狭い車内に寝袋を敷いて、あとは空を見るしかない状況に自分を追い込む。
AIに仕事を任せることが日常になるほど、人間は「オフにする」ことのほうが難しくなる。脳は常に問題解決モードを求めていて、退屈に耐えられなくなっている。何もできない環境に身を置くのは、意志に頼らずに脳を休ませる、いちばん確実な方法なんだと思う。
毎日のリカバリーには冷水シャワーで脳の熱を冷ます方法もある。週末にガツンと休むか、毎日細かくリセットするか。両方あると安心だ。
次の休日、行き先だけざっくり決めて、寝袋を車に積んで出かけてみてほしい。着いたらやることはない。それがいい。
物理的に何もできない場所で、初めて「今日は休んだ」と言える休日が手に入る。