3つのAIを同時に使うのが普通だった

昨年まで、私の日常はこうだった。

ChatGPTでコードを書き、Claudeで文章を直し、Geminiで調べ物をする。一つの質問に3つのAIの答えを比較し、時にはプロンプトを4回も5回も練り直した。AIに仕事を任せるつもりが、AIの出力を評価するのが仕事になっていた。

ある日、Slackの返信一通に30分かけて3つのAIの回答を精査している自分に気づいて、手が止まった。AIがない頃は30秒で返していたメッセージだ。

バカバカしくなって、全部やめた。

3大AIアシスタント、半年使った本音

ChatGPTClaudeGemini
コード生成★★★★☆★★★★☆★★★☆☆
文章の自然さ★★★☆☆★★★★★★★★☆☆
長文・資料処理★★★★☆★★★★★★★★★★
日本語の精度★★★★☆★★★★☆★★★☆☆
無料でどこまで使えるか★★★☆☆★★★☆☆★★★★★
掛け持ちした時の疲れ
結局やっていることは同じだ。指示を出して、出力を受け取る。3つの差はせいぜい5%。その5%のためにチャット画面を切り替える認知コストを払う気には、もうならなかった。

一つに絞るための優先順位

  1. 無料で一番使いやすいものを一つだけ選ぶ。課金は1ヶ月待つ
  2. そのAIでできないことが明確になったときだけ、別のAIを単発で試す
  3. 「プロンプトが下手かも」という不安は捨てる。普通の日本語で伝えて、会話で調整すれば十分
  4. 3つの回答を比較する行為そのものを、時間の無駄と認識する
「無料だから全部使う」が一番まずい。チャット画面を切り替えながら回答を比較する行為は、AIが出る前よりはるかに非効率だ。私はこれで1日2時間以上を無駄にした。

プロンプトを捨てたら、考える余裕が出た

プロンプトエンジニアリングに入れ込んだ時期もある。1つの質問に15分かけてテンプレートを整え、出力形式を細かく指定した。それで得られる品質向上はせいぜい5%。消費する時間と認知リソースは3倍だった。

今はこうしている。AIへの指示は雑でいい。ざっくり伝えて、足りないところを会話で直す。そのほうが速い。

AIを一つに絞ってから、不思議とAIを使う時間が減って、AIなしで考える時間が増えた。ある問題に対して、まず自分の頭で5分考え、それでも足りなければAIに聞く。この順番が自然に戻ってきた。

あとから知った言葉

AIを一つに絞ってしばらく経った頃、同僚に教えられてGlobal Wellness Summitの2026年トレンドレポートを読んだ。

第2位に「The Over-Optimization Backlash」という項目があり、読んでいて思わず苦笑いした。ピークウェルネス、バイオハッキング、生産性の数値化。やりすぎた最適化への反発が、トレンドとして名前を持ったらしい。

まあ、そういうことなんだろうと思う。

これはAIを否定しているわけではない。今もコードを書くときはAIを使う。でも使い方は変わった。一つだけ。雑に指示して会話で直す。それで十分だった。

私の周りでも、昨年まで「このプロンプトがすごい」とSlackで共有していた人たちが、最近はAIの話そのものをしなくなった。使い方が定まって、話題にする必要がなくなっただけなのだと思う。

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